市長からごあいさつ（令和7年12月）「温故知新」

　まちを歩けば、みかんが豊かに実り、朝露に光るみかんを目にすると、季節の移ろいと自然の恵みを感じます。朝夕の冷たさも増し、皆様も冬支度を進めておられることと存じます。

　先月を振り返ると、市役所では補正予算や来年度に向けた予算編成の時期を迎え、国への要望や陳情のために上京するなど、慌ただしい日々を過ごしました。

　10月末には、イタリア・ローマで開催された世界農業遺産「有田・下津地域の石積み階段園みかんシステム」の認定証授与式に出席いたしました。先人たちが築き上げたみかん産業の知恵が、世界から高く評価されたことは誇りであり、地域ブランドや観光振興、後継者育成、持続可能な農業の推進など、多くの可能性を広げる契機となります。今後も自然と共生しながら、皆様と力を合わせて取り組んでまいります。

　また、11月13日には「令和7年度有田市文化賞表彰式」を挙行し、3名と1団体の皆様を表彰いたしました。各分野で努力を重ね、本市文化の発展に寄与された功績は市民の誇りです。受賞された皆様の活動は、こどもや若い世代に刺激を与え、地域文化の向上につながっております。改めて心よりお祝い申し上げます。

　私の好きな言葉に「温故知新」があります。故きを温ね、新しきを知る。過ぎた日々に思いを馳せると、そこから静かに創造の力が芽吹くように感じます。澄んだ冬空の下、色鮮やかに実るみかん畑や、まちに息づく文化の営みは、先人の知恵と努力の積み重ねの証です。その記憶を胸に、私たちは今日のまちに新たな価値を生み、未来を紡いでいきます。時代が変わっても変わらないのは、先人を思う心と、そこから生まれる創造の力です。

　文化と歴史に彩られた愛すべきまち・有田市を、皆様とともに未来へつなぐため、これからも歩んでまいります。どうぞ引き続きのご理解とご協力、そして温かいお力添えを賜りますようお願い申し上げます。

　

有田市長　玉木　久登